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版画の種類と刷り →  デジタルプリント (2018 10 06)  提供作家の作品情報

 

応用編-1-  応用編-2-

デジタルプリント(銅版画の併用例)―版を楽しむー

特徴;概説:デジタル分野は多彩な表現を可能にする現代が求め創り出した手段です。デジタルプリントはその一部であり、その表現方法としては大きく2つに分かれます。 1つは単純で基本的な形を幾重にも組合せ(コンピュータ独自の生成;フラクタル)ていく表現方法とスキャナーやカメラで素描や写真を取り込み(或は直接画面上で描画し)、彩色、変形、加筆修正、組合せを画像プログラムを使って創作すると言う方法です。画像は大きくも小さくも自由に拡大縮少描写出来ますが、最初に表現内容に沿った適正な解像度がしっかりと組み込まれていないと、不本意な(ぼ け、カスレ、など)仕上り・結果となるので要注意です。


制作工程:概略

1.下絵を描きレイアウト、以降の工程案を練る。

2.下絵をスキャナーで取り込み、加筆、更なる必要な取り込みをする。

3.銅版画の必要な部分を写真画像として取り込む。

4.銅版画の部分が組み込まれるようサイズや全体の調子を整える。(デジタル工程終了)

5.続いて銅版画として組み込む部分を雁皮紙にプレス印刷する。

6.スプレー糊を使って雁皮紙を捨て紙に剥がし付ける。

7.剥がした雁皮紙を4のデジタル画の所定の場所に張って完成。


道具、材料;

コンピュータ作業に必要な機器一式(マウス、キーボード、ペンタブレット)や画像編集ソフト(フォ

トショップなど)スキャナーやプリンター、他に必要に応じ厳密に色照合するための機器類。モニター

、インクジェット用洋紙や和紙、インク、その他ー銅版画併用に必要な機器(元銅版、プレス機、雁皮

紙、接着剤、馬連(バレン)、捨て紙類、など)。  

 *捨て紙;ラベル用紙などで使用済みの剥がした紙のことで光沢面を使うと剥がし易い。

 *プリンター;銅版画併用時デジタルプリントした用紙を湿すことになるので、ニジミの出ない顔料

      系のプリンターを必要とするが、染料系のものなら、今回例のように雁皮紙に一旦摺り取ったもの

     を張り付けることで、湿すこと無く作業出来る。

制作工程;詳細 以下、通常のグラフィック作業に加え銅版画の併用例をご紹介します。
 *ここではヨコ30cm xタテ20cmの仕上げとなる作品を解像度250 dpiに設定していますー

全体の構想をねり、レイアウトを決める
1素描や画像をスキャナーで取り込みレイアウトを決める。
レイアウトに沿って必要な取り込み、加筆をする
2レイアウトに沿って必要な加筆・取り込みを続ける。
銅版画の必要部を写真データとして取り込む
3 銅版画の必要部分を写真画像として取り込む。
加筆、修正、取り込みを終え銅版画の取り込みに備える
4 銅版画を組み込む部分をそろえ、全体の調子を整える。(デジタル工程終了)
続いて銅版画として組み込む部分を雁皮紙にプレス印刷する。
5 続いて銅版画として組み込む部分を雁皮紙にプレス印刷する。
スプレー糊を付けた捨て紙に雁皮紙がくっつくように押さえて銅版から剥がす。馬連などを使うと良い。(銅版画工程終了)
6 スプレー糊を付けた捨て紙に雁皮紙がくっつくように押さえて銅版から剥がす。馬連などを使うと良い。(銅版画工程終了)
剥がした雁皮紙をデジタル画に張り付ける
7さらに捨て紙から雁皮紙を剥がし4の銅版部に乗せ、当て紙を置き、ゆっくり馬連で押さえて行く。
(注)あり
(あまり強く押さえると雁皮上のインクが当て紙についてしまうので注意) (完了)
(あまり強く押さえると雁皮上のインクが当て紙についてしまうので注意) (完了)

(注)7の工程で雁皮紙を剥がした後、スプレー糊の状態(かなり接着力は残りますが)をみて必要に応じスプレーの追加をする必要があります。慎重にやらないと、雁皮紙がめくられたり糊の濃淡が強く出たりします。

*この併用はデジタルとアナログの質の差を求めたものですが、雁皮紙を使用したのはデジタル作業終了後の銅版刷りの時、水で濡らす必要がないようにするためです。 顔料インクでデジタルプリントすれば裏側からスポンジで水を与えてもプリント面はにじまないので、見当をつけて直接銅版を摺り込むことも技術的には可能となりますが、その場合雁皮紙を使用した時とはイメージは異なります(加えて当然ながら銅版サイズはデジタル画面より大きくないとプレートマークが残ってしまうので留意が必要です) 

応用編-1- Photoshop & Illustrator の使用例

応用編-2- その他のデジタル応用編 −2−(描画モード/雁皮紙併用など)


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