版画の種類と刷り→シルクスクリーン (2018 08 24) 作家の作品情報
感光法によるシルクスクリーン ―版を楽しむー
特徴:シルクスクリーン(セリグラフ)は今では懐かしい「ガリ版」や「プリントゴッコ」等と同じ孔版(スクリーンにインクを通す孔を開けて、その孔からインクを押し出して刷る)技法です。クッキリとシャープな輪郭線(ハードエッジ)、フラットで鮮明な発色が魅力です。この特色を生かし、アンディ・ウォーホルをはじめとするポップアートの代表的な表現手段として時代をリードしました。近年は発泡性インキ等、新技術を取り入れてさらに新しい表現が探求されています。シルクスクリーンは版画プレス機が不要な上に、無害な水溶性インキでも制作できます。そのため、家庭でも比較的簡単に制作することができます。さらに、布や木材、プラスチック、ガラスなどの様々な素材、瓶やコップなど曲面にも刷ることができるので「版画」の枠を超えた様々な作品づくりが可能です。
制作工程:技法が普及した当初は、ニス原紙と呼ばれる型紙をカッターで切り抜きスクリーンに貼りつける「カッティング法」が用いられましたが、現在は感光性の乳剤を塗布したスクリーンに遮光性の材料で描画した透明フィルムを密着させて露光する「感光法」が主流になっています。「感光法」の工程を概説します。
以下の写真はクリックすると拡大します。
1 下絵を描く (材料:画用紙、鉛筆など) 画用紙に下絵を原寸大で描く。この時に刷り重ねる版数(色数)を決めて各版の描画内容をメモしておくと良い。(写真1) *最期の「塗り重ねの工程」を参照 |
2 透明フィルムに描画(材料:マットフィルム、製図ペン、オペークインキ、筆など) 下絵の上にフィルムを固定し、描画する。(遮光性があればどのような材料でも使える。原画や写真を透明フィルムにコピー機でコピーして使うことも可能)。(写真2~7) |
3 露光(材料:感光性乳剤、紗枠、感光焼付機) この工程は感光性材料を使用するため、暗室での作業になる。ただし感光乳剤の感度は低いので、厳密な暗室は必要ない。無窓室や夜間など薄暗い室なら作業できる(写真8~9)。 |
写真では大がかりな設備を使用しているが、卓上型や写真用フラットランプ等簡易な機材も市販されている。 |
4 水洗い現像(材料:高圧水) 露光の終わった版を高圧水で水洗いする。紫外線に当たった(描画しなかった)部分の乳剤は耐水性に変化し版面に残る。描画部分の陰になって紫外線が当たらなかった部分)の乳剤は水で洗い流され孔が開く。(写真10) |
5 刷り(材料:刷り台、インキ) 刷り台のホルダーに現像が終わり乾燥させた紗枠(版)を固定し、スキージーを上部から下部へインキを押し出すように動かし刷る。(写真11~12) |
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版の数だけ(色の数だけ)刷り重ねていく。(写真13~16)
(写真13) (写真15)
(写真14) (写真16)完成