版画の種類と刷り→私の木版画 (2017 02 14) 作家の作品情報
私の木版画 ー版を楽しむー
特徴;自分にとっての木版画とは、版木に凹凸をつけ(彫刻刀だけに限らず)絵の具を刷り毛で塗り、馬連(バレン)で摺るという原則を守って行っています。
制作工程:概略
1.転写ー下絵を色彩分解しトレーシングペーパーに写し、カーボン紙で版木に転写。(転写はかなりおおざっぱです。)
2.彫りー転写の次は彫りになりますが、この時に転写した線よりも下絵を見ながら「刀の彫り味」を活かして進めます。下絵の線ばかり追うと作品が小さくなる様な気がします。
3.摺りー版木に絵の具を塗り、作品に一番合った馬連の種類、摺りの強弱、紙の湿り具合を見つけて摺り上げます。絵の具はアクリル絵の具です。絵の具を混ぜて色を作る事はせず、色の変化は版の重なりで作って行きます。
材料準備:画像のクリックで拡大します
- 版木 3mmのシナベニヤ(タイプⅡで十分)摺る時は12mmのベニヤに木ネジで留める。
- 彫刻刀 版画を始めた時は版木刀2本、コマスキ4本、アイスキ3本、三角刀は1本と見当ノミでした。それから少しづつ増えて100本以上になりました。
*版木刀について・・・刃先の角度、形によって用途が分かれる。
- 刀以外の道具 四方反りカンナ、外丸カンナ、反り台カンナ、セリカンナ、ルーター、ピアノ線の先を尖らせ、5本束ねたもので版木をひっかく自作工具。砥石(仕上砥、中砥、荒砥)
- 刷毛(ブラシ、手刷毛、油絵のブタ毛の筆ー毛筆の先を切って作ったもので使いやすい。
- 馬連 八ッコ、十六ッコ、ボールチェーン(同じ八ッコでも太めの物、細めの物があり必要に応じて使い分ける、十六ッコも同様。左下の馬連はボールチェーンをベニヤ板に留めて作った物で、強く使えばツブシに、軽く使えば摺り跡がはっきりと出る。(細い線を摺る馬連の縄は雁皮(ガンピ)紙に柿シブをぬり、7mmぐらいに切って撚り合わせ十六ッコにしたもの。*摺る時の当て紙はクッキングシートを使っている。
- 和紙 生漉奉書、鳥の子
● 制作過程(詳細)・・・詳細は画像をクリックした拡大画像で!
1)下絵の転写
*作業工程がやや煩雑なので下絵と完成画を先に表示します。
*版木の転写は見当の部分と版の部分を分ける。(以降では見当のバーが左サイドになります)
2)彫り
5本錐(きり)による引っ掻き
引っ掻きの版木は仕上がったら真ちゅうのワイヤーブラシでこすり、バリを取りラッカーを塗る。次に240番のサンドペーパーを軽く掛ける。*ラッカーを塗るのは引っ掻きの線をよりハッキリさせるため。
3)摺り
①リキテックス チタニューム ホワイト ②リキテックス パーチメント
③リキテックス マースブラック ①②③までの摺り上がり(左右反転)
④ホルベイン カドミューム レッドミドル ①〜④までの摺り上がり(左右反転)
⑤黒線で囲んだ4カ所だけをリキ
テックス プルシャンブルーヒューで摺る
⑦リキテックス マースブラックで摺 ①〜⑦までの摺上がり(左右反転)
る
⑧リキテックス マースブラックで摺る ⑨ホルベイン ランプブラックで摺る
⑩ ⑤の版でリキテックスマースブラックを摺る
⑪ ⑧の版でマイメリ ペイニーズグレー
⑫ホルベイン ランプブラックで摺る ⑬ターナ 青ズミで摺る・・・終了
⑭1)の完成作品