国画会が運営する日本最大級の公募展。

版画の種類と刷り→メゾチントの基本技法 (2016 11 12) 作家の作品情報

メゾチントの基本技法ー版を楽しむー

特徴;最初に漆黒の背景素地をつくり自由自在なトーンを描き込むことで緻密で柔和な奥深い表現を創造することが出来る。


制作行程;概略(ここでは点の密集による素地の場合)
 1銅板上に細かな点や線の密集を刻むことで漆黒背景の素地をつくる。
 2下絵を転写する。
 3削り、磨き工具で描画する。
 4インクを詰め、拭き取ってプレス機のプレートにおく。
 5湿した紙を版上に被せプレス圧を掛け刷り上げる。


材料・工具 準備

 1銅板、刷り紙、寒冷紗、インク拭き取り布、インク除去溶剤(リグロインなど)、プレス機
 2下絵用の紙(トレーシングペーパーなど)、転写紙(カーボン紙や弁柄を擦り込んだ紙など)、ボールペンや鉛筆
 3ベルソー(写真1)ニードル(写真2)ハーフトーンコームなど
  ー背景を作る為の自分の使いやすい工具、やすり、定規
 4スクレーパー(写真3)バニッシャー(写真4)ー素地を削り、磨く工具
 5スポンジ(刷り紙両面を湿す場合)、刷り紙を浸す(場合の)バット、新聞紙、ビニール(袋)ー版画紙を湿らせる用具

枝に平行な細い溝が刻まれていて、先は針のように鋭く 密集したアーチ型になっている。幅と本数は用途により選ぶが本数の少ない程粗い点間隔になる。(今回は85本)

(写真1)ベルソー

キリや鉄筆のように先の尖って固い細線引き工具

(写真2)二ードル

鋭利な刃物。目立てた版上をざっくり削り凹部をつくり、インクの付き具合を調整する工具。

(写真3)スクレーパー

スプーンの腹のようにツルッとしていて、スクレーパーなどで削ったあとの粗さを磨き、同じくインクの付き具合を調整し、微妙なトーンを仕上げる。

(写真4)バニッシャー

 

 

 

 

●メゾチントの制作過程・・・・・・・・・

1銅板にメゾチントの下地を制作ー ベルソーを左右に揺らして縦横斜めと計4方向に細かな点の密集面を作る。 (線の場合は後記参考を)

1銅板にメゾチントの下地を制作ー      ベルソーを左右に揺らして縦横斜めと計4 方向に細かな点の密集面を作る。 (線の場合は後記参考を)

写真2

2薄紙(トレーシングペーパーなど)に描いた下絵をメゾチント下地ができた原版に転写する。

写真3

3転写されたメゾチント板

写真4

4スクレーパーで描画部分を削る。

写真5

5スクレーパーだけだと表面が少々粗いので、バニッシャ―で描画部分を磨き滑らかにして行く。

写真6ー写真7

6制版が完了したら4辺にヤスリをかけスクレーパーやバニッシャーできれいに磨きプレートマークを仕上げる。7原版にインクを詰めて行く。

写真8

8寒冷紗を丸めたものでインクを拭き取る。プレートマークのインクもきれいに拭き取る。刷り紙はあらかじめ湿しておく。

写真9

9プレス機のベッドプレートの上にインク詰めした版をのせ、その版の上に湿した刷り紙を置きプレス機を通して刷り上げて完成。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


(後記)線による密集面を作るには、綺麗にした版面に点の場合と同様に、縦横斜めの4方向に定規を当ててドライポイント用の刀やカッターで、びっしりと平行線を刻み込んで行く。いずれの場合も出来上がりはヤスリの目のようにザラザラな目立て状態の素地となっている。%e3%83%88%e3%82%99%e3%83%a9%e3%82%a4%e3%83%9b%e3%82%9a%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%83%88%e5%88%80

 

 

 


▲ページ先頭へ