80回記念国展
工芸益子展
ーー濱田庄司と国画会ーー
会 期 平成18年8月6日(日)~9月3日(日)午前9:30~午後5:00閉館(休館日:月曜日)
会 場 益子陶芸美術館 会場の様子をごらん下さい
主 催 益子陶芸美術館、下野新聞社、国画会工芸部
協 賛 (株)大塚商会、(株)やまに大塚、栃木民芸協会、栃木県国画会工芸部、益子町文化の町づくり実行委員会
後 援 益子町、NHK宇都宮放送局、とちぎテレビ、栃木放送、エフエム栃木、文星芸術大学、ましこeまちネット
*表示される作品には著作権があり、無断使用を禁じます。(著作権承認済)
あいさつ
図画会工芸部は1927(昭和2)年に創設されて、翌年漬田庄司やバーナード・リーチらが加わり第一回国画会工芸部公募展が開催されました。1920年代後半は、溝田が英国から日本に戻り、柳宗悦、河井寛次郎たちが中心になって「民芸」という言葉が造られ、新たな視座のもとに民衆の手仕事も含めて工芸を再評価しました。まさに国画会工芸部は日本の近代工芸の新しい幕開けの時期に歩み始めたのです。
工芸は常に伝統の中で語られ、美術とは区別されてきましたが、溝田たちはそれまでの工芸感に美しさと個性の表現を加え、生活と共にありながらも美しい“焼物”を生み出しました。そして多くの人々がその考えに共感しました。
漬田たちの意思が息づく工芸部が80周年の節目を迎える今年、「80回記念工芸益子展 溝田庄司と国画会」を益子陶芸美術館で開催することになりました。本展では工芸部草創期に関わった工芸家たちの作品と国画会工芸部会員や入選した若い工芸家たちの作品を合わせ、80年の日本近代工芸史を振り返る大変意味の深い展覧会となりました。この機会に、世界に誇る日本の工芸の真髄を是非ごらんください。
益子陶芸美術館
館長 平野良和
あいさつ
このたび、80年の輝かしい伝統を持つ国画会工芸部によります「80回記念国展 工芸益子展」が陶芸の郷益子町で開催されますことは、主催者として誠に喜ばしく、関係各位のご尽力に深く感謝申し上げます。
この益子の地は、渡田庄司、バーナード・リーチなど近代日本の工芸の揺藍期に活躍した偉大なる先人のゆかりの地であります。また、のちに創られる「民芸」という、近代日本の美術史上重要な概念も、益子とは無線ではありません。なぜなら日常の「用と美」の融合を意味するこの言葉こそ、郷土栃木の実直なる民衆と美しい自然に育まれた「益子の陶芸」そのものであると感じるからです。この栃木県の誇るべき益子の地において、国画会の80周年の節目の展覧会が開かれますことは、本県の近代美術を回顧するうえでも、大変意義のあることです。
本展にご来場の皆様におかれましては、近代日本さらには現在の日本を代表する工芸の粋、そして郷土が育んだ美の世界を、心ゆくまでご鑑賞ください。
最後になりますが、国画会工芸部、また本県の美術界のますますのご発展を祈念し主催の挨拶とさせていただきます。
株式会社 下野新聞社
代表取締役社長 上西朗夫
80回記念国展工芸益子展によせて
国画会80回展の記念すべき年に、工芸部生みの親の一人である潰田庄司先生の生活、創作活動の地 益子において本展を開催し、次の新しい時代への踏み出しとしたいと思っております。公募展の意義が薄れつつある中、国画会工芸部も例外ではありません。この会の先人は強い想い、ゆったりとした時流を思わせる作品を生み出して来ました。私達も懸命に仕事をしているのですが、時代の流れか、想いが弱くなっている様に感じます。潰田庄司、河井寛次郎、芹沢ケイ介など我々の先人は、その時代の新しい工芸の道を創り出すと共に工芸作家としてのしっかりとした姿勢と思想を国展工芸並びに後の各作家に残しました。そして「用と美」を大切にした作品を制作し、語り合ったであろう益子の地で、先人達の作品と共に私達の作品を展示し、皆様に御高覧いただきたいと思います。
現会員や準会員の私達も先人同様、益子に集い、益子で語り合い、そして新しい一歩を踏み出したい所存です。
おわりに、本展を開催したいと云う私達の願いにご賛同を賜り御出品を下さいました東京国立近代美術館、日本民芸館、大阪日本民芸館、益子参考館、個人所蔵者の皆様の御好意に対し厚く御礼を申し上げます。
また、本展開催のためにご支援、ご協力を賜りました関係各位に心より感謝を申し上げます。
国画会工芸部
鑑査員長 松崎 融
益子展開催にあたって
この度、伝統ある国画会の工芸部による記念すべき展覧会を、漬田庄司氏が理想の地として住まわれた益子町の「益子陶芸美術館」において開催されますことは、誠に光栄であり、かつ、益子と国画会工芸部との深いご線を感ずる次第です。
昭和初期に、工芸部と関係された巨匠たちによって、「民芸」と言うブランドが創造され、様々な分野に影響を与えながら確立し、現在まで鈍ることなくデザインや思想の中で輝く所以は、幾人かの人間国宝を排出しつつ、日本の美術界の一翼を担い続けている国画会工芸部の皆様の大きな力の賜物であり、今後も次世代の潮流を担われることと思います。
展覧会では、作品の放つ技と実の波が、ご来館者の感性を豊かに満たしながら共鳴すると確信し、今後とも、美術界の発展と実の探究に国画会工芸部が益々寄与されますことを祈念いたします。
益子町長 大塚朋之
- 濱田庄司
鉄絵角皿
(益子)
東京国立近代美術館蔵
- 棟方志功
二菩薩釈迦十大弟子
迦旃延の柵
【展示内容(出品者)】
・濱田庄司、柳宗悦、富本憲吉、バーナード・リーチ、河井寛次郎、棟方志功、芹澤銈介、黒田辰秋をはじめとする草創期からの工芸部在籍作家26名、32点。
・会員75名、75点。 準会員48名、48点。
・80回記念国展受賞者9名、9点。
・栃木県在住の入選者6名7点。
【開催趣旨】
国画会工芸部は1927年の国画創作協会展(日本画、洋画)に洋画部の梅原龍三郎の勧めで富本憲吉が陶磁器などを出品し、会員として迎えられ、翌1928年には濱田庄司、バーナード・リーチが加わり近代日本の工芸界の礎を築いた工芸家たちによって創設されました。
この国画会工芸部は日常生活を確かで豊かな暮らしにするため、「用と美」を理念に掲げ、自然の素材を充分に活かした誠実な手仕事から生まれる健やかな美しさを求めてきました。創部以来この伝統を踏まえつつも時代の必要性に応える自由で新しい工芸のあり方も模索してまいりました。
また、工芸部は毎年4月、東京都美術館で絵画、版画、彫刻、写真の各部と共に国展を開催し、数多い現代日本の工芸展の中でも工芸の本道を目指す展覧会として注目を集めてまいりました。今年、国画会創設80周年を迎えるにあたり、工芸部と深い関わりのある益子で「80回記念国展・工芸益子展」を開催し、その活動の歴史と工芸の魅力を展覧します。
本展では80年の歩みの中で多大な功績を残した先達26名と工芸部の会員、準会員、受賞者などの作品約170点を展覧いたします。