絵画部 会員インタビュー
第11回 四国 2013.02
北海道~沖縄までの会員・準会員のインタビューとご紹介
「下り坂の人生」
調子の悪い眼と歯に加えて、最近、ひどい耳鳴りに悩まされている。何しろ四六時中頭の中で蝉が鳴きまくる。それも集団でだ。時々「うるさい!」と怒鳴ってみるけれども、決して手加減してくれる訳じゃあない。
昨年、65歳で定年退職した。ここらが潮時だろう。長く勤めたご褒美だと考えて、生活の不安はあるものの再就職などはもってのほか、神様が僕にくれた最後の贅沢な時間を楽しむことに決めた。その時はまだ余力がある下り坂の人生も悪くないだろうなどと思ったものだ。しばらく行っていない釣りやゴルフを復活させ、ゆったりした気分で絵を描く。なにしろ時間はたっぷりあるのだ。
こんな事を書くと羨ましいと思われるかも知れないが、ところがなかなかそうは行かない。もう1年が近付いているというのに一度も釣りに行ったことがない。時間はあれほどあったのに5月の個展を控えて一枚も出来上がっていない。毎日寝っころばってテレビばかり見ている。なんだか1日があっという間に過ぎる。気力だけではなく体力も随分落ちた。2年程になるが、いくつか持っている持病に厄介なものをまた一つ加えた。生活習慣を変えてみようと色々計画を立ててみる。何時に起きて、何時に食事して、何時に風呂に入って、何時に寝るってやつだ。ついでに散歩も加えておこう。これまでにも何度やろうと思ったか知れやしない。お察しの通り3日と持ったためしがない。何十年もかけて作り上げた僕の時計だ。そう簡単に直せるものではない。これも神様の贈り物と受け入れるしかないか。何しろ仕事に行かなくってもいいし、パソコンからも開放されたし、自由がいっぱいなのだから。
それにしてもこの下り坂はあまりにも急勾配すぎやしないかい!
国画会 絵画部会員 津地 威汎
「南国徳島より」
四国,徳島に住むようになり18年になります。私はもともと静岡県出身ですが,気候の様子はこの両県は似たものでたいへん助かっています。東京の友人は「南国徳島は暖かいんだろうね。」と言われますが,北緯だってそんなに違いませんから,冬には雪だって降ります。やはり友人は私の話を聞くことも無く「南国徳島の影響だろうね。鈴木の作品は明るくなったね。」と言います。徳島へ来るまでの制作は5点から20点の平面作品を展示壁面に構成展示してそれ全体を1点の作品とするものでした。当然ですが公募展やコンクールなどの審査には対応出来ないものでした。留学の為の作品審査では展示壁面自体を作り、そこに構成展示した状態で審査会場へ作品を友人4人で持ち込み、審査を受けました。徳島に来てからは自然と1点ものの作品を作ることが出来るようになり、そこから国展に出品するようになりました。私の学生時代、油画の学生の制作はスマートな形態とその表情は艶のない乾いたものが主流だったと思います。ですが私はどうもそのような表情には馴染めず、艶のあるドロドロとした画面を好んで制作していました。絵画論を闘わす為に集う安居酒屋では同級生からは「あの様な仕事は流行らないからやめてしまえ。」とよく言われたものでした。国展に出し始めた時のものもその系譜にあるものでした。国展の出品作も徐々にではありますが展開、変化はしていますがやはり私の中にはドロドロとしたテクスチャーや形が巣くっているのだなと感じています。
四国から国展に出品するものは他の地域と比べた時、たいへん少数であります。私が把握しているもので、会員が津地氏と私、準会員が古草氏、会友一般の方は年によって違いがあるものの10人以下というところです。津地氏とは元ではありますが職場の先輩後輩という関係で色々なご教授をいただき感謝しています。香川県の古草氏とは関西国展の共に委員として新人の発掘、会の運営など色々協力して行かねばなと考えております。また、あわせて会友や一般の方とも四国を盛り上げて行こうと思っています。どうぞ宜しくお願いします。
国画会 絵画部会員 鈴木 久人
2020/06/06 絵画部・会員インタビュー|