国画会が運営する日本最大級の公募展。

第97回国展工芸部  初入選者の声

第97回国展に出品された初入選の方々にご連絡させていただき、ご返答戴きましたコメントをお知らせいたします。

項目として以下の事にお答え戴きました。

○なぜ国展に出品しましたか?
○制作の原動力になるものは?
○10年後、どうありたいとお考えですか?
○国画会工芸部に対してどのようなイメージをお持ちですか?

今回コメントを寄せていただきました初入選の方々に御礼申し上げます。
(敬称略)(撮影:小池亮輔)


YOKOHAMA

大坂信子

(染)大坂信子

○なぜ国展に出品しましたか?

趣味ではじめた型染めですが、自分なりに満足のいく作品が出来たので
講評して頂きたいと思いました。

○制作の原動力となるものは?

型糊を落とす時のワクワク感と、作品が出来上った時の達成感。
応援してくれる家族と友人です。

○10年後、どうありたいとお考えですか?

自分らしい表現の仕方を見つけ
楽しみながら型染めを続けていたいです。

○国画会工芸部に対してどのようなイメージをお持ちですか?

明るく、あたたかみを感じる作品が多く、作り手の個性を大切にされる
自由なイメージです。
国展(工芸部)の会場は心地よい風が吹いているように感じます。


夜の線
着物

(織)太田亜希

○なぜ国展に出品しましたか?
挑戦してみたかったからです。

○制作の原動力となるものは?
ゆっくりとした時間

○10年後、どうありたいとお考えですか
健康で楽しみながらお仕事をしていたいです

○国画会工芸部に対してどのようなイメージをお持ちですか
自由で洗練されている


工芸部奨励賞
灰釉鉢
43x43x12.5

(陶)高橋幸治

○なぜ国展に出品しましたか?

歴史ある公募展で評価されるか試してみたかったから

○制作の原動力となるものは?

地元出雲地方の風景とかを表現したいと思うこと

○10年後、どうありたいとお考えですか

自分にしか出来ない独自の技法で結果を出せるようになりたい。

○国画会工芸部に対してどのようなイメージをお持ちですか

評価の幅が広いと思いました。


ビハーラ(安らぎの場)

(染)中島千津

○なぜ国展に出品しましたか?

恩師の先生がアルツハイマー病になられ、私を育ててくださったお礼にどうしても、入選したくて。

○制作の原動力となるものは?

自然の中で生かされている事を感じ、原点は、自然。その中でトキメクものを作品創りにしています。
この4年間のコロナで、山野草にめざめ、力強く、また品格を持ち、堂々としている姿に。

○10年後、どうありたいとお考えですか

自分の制作もさる事ながら、若い人達に、この日本の伝統の型染染色を伝えていけたら、幸いです。
琉球王国時代の型染でなく、令和の型染を一緒にやってゆけるといいです。

○国画会工芸部に対してどのようなイメージをお持ちですか?

工芸部門に力を湧いていただいているように、感じます。


OVERFLOW
59.5×289
水口マキ

(織)水口マキ

○なぜ国展に出品しましたか?

国画会は自由な会風であるのと同時に、色々な作風の方々が集うおおらかさがあるとお見受けし、何か出品するなら国展にチャレンジしてみたいと思っていました。

○制作の原動力となるものは?

自分の頭の中にあるイメージをどうしたら作品に落とし込めるかを考え、
織っていく作業は行きつ戻りつで楽しいばかりではないですが充足感があります。
また、考えている像に近づけるようゆっくりでも歩を進めていけば、
いつか理想通りの景色が目の前に現れるのではないか、というのが作品制作を続ける理由です。

○10年後、どうありたいとお考えですか
多くの表現法を獲得して、自分の理想に今より10年分近づいていたいです。

○国画会工芸部に対してどのようなイメージをお持ちですか?

色々な作風の作家さんがいらっしゃり、門戸が広く開かれているという印象です。


工芸部奨励賞
水無月

櫻木せつ子

(織)櫻木せつ子

○なぜ国展に出品しましたか?

毎年、国展の多種多様で質の高い展示の数々を素晴らしいと感じ憧れていました。国展にチャレンジする事で、自身の作品作りの励みにしたく出品しました。

○制作の原動力となるものは?

思い描いた模様を織りにどう落とし込めるか、試行錯誤し出来上がった時の達成感と、次への思いです。

○10年後、どうありたいとお考えですか

できる限り長く織と親しんでいければと思います。

○国画会工芸部に対してどのようなイメージをお持ちですか

とてもあたたかみのある部に感じました。 

ありがとうございました。 

 


植物染 花織 名古屋帯「旋律・春」

庄子葉子

(織)庄子葉子

○なぜ国展に出品しましたか?

尊敬する方から勧めと自分のタイミング。

○制作の原動力となるものは?

植物染料から染まる色の美しさ、繊維が糸に 糸が布になっていく面白さ、どうして!? 不思議!! というワクワクする気持ち。

○10年後、どうありたいとお考えですか

心身健やかに 日々糸に触れ、自分に嘘のない手しごとを続けていられたらと思います。

○国画会工芸部に対してどのようなイメージをお持ちですか

あまり先入観を持たずに初めて講評会に参加して、ひとりひとりの個性と自由を尊重し 真剣に向き合ってくださる人々、長い歴史がありながら 常に新しい風が吹いている場所、というイメージを持ちました。


栗拭漆文几
27.9×107.9×40.0
鈴木甲一郎

(木・漆)鈴木甲一郎

○なぜ国展に出品しましたか?

自分が工芸を志すきっかけとなった民芸運動時代の作家たちが活躍した国展に挑戦したいと思ったから。 

○制作の原動力となるものは?

「自分とはいかなるものか」という根源的な問いだと思います。その問いに対する自分なりの答えをものづくりという手法で模索しているのだと思います。 

○10年後、どうありたいとお考えですか

10年一昔と言いますが、年齢を重ねるとあっという間に過ぎてしまいます。これまでに練ってきた作品構想のすべてをカタチにしておきたいと思います。 

○国画会工芸部に対してどのようなイメージをお持ちですか

奇をてらった作品を好まず、また、単なる伝統の踏襲ではない、絶妙な作風の追求をしている方向性を感じます。 


冬、夜明け前
101×188
福田彩子

(染)福田彩子

○なぜ国展に出品しましたか?

お世話になっている先生からすすめられて出品しました。

国展は藍染を始めた時から「夢とあこがれ」だったので、とてもうれしかったです。

○制作の原動力となるものは?

何より励ましの言葉をいただくこと。また、作品を通じて新しい出会いと発見があることです。

○10年後、どうありたいとお考えですか

支えてくださる方々への感謝の気持ちを忘れず、健やかに制作を続けていたいと考えています。

○国画会工芸部に対してどのようなイメージをお持ちですか

美に対する明確な基準があり、後に続く者に多くの気づきと、勇気を与えてくれるところ、というイメージがあります。


帯地 青梅雨

坂本和美

(織)坂本和美

○なぜ国展に出品しましたか?

着尺からタピストリー、表現方法も、素材も技法も自由で、興味深く思っていました。
この作品に関してではないのですが、先生に背中を推して頂きました。

○制作の原動力となるものは?

木綿のはだざわりや、天然染料の色味と、織の組織のおもしろさ。
そして、身の回りの美しいと思う物でしょうか。

○10年後、どうありたいとお考えですか

染めて、織っていたいです。

○国画会工芸部に対してどのようなイメージをお持ちですか

あたたかい雰囲気を感じました。


プリズム

高見由香

(織)高見由香

○なぜ国展に出品しましたか?

長年ものづくりをされている先生方の講評を受け多角的にお言葉を頂き、それを自身の今後の制作に還元したいと考えたからです

○制作の原動力となるものは?

頭の中にある景色をつくりたい・生み出したいという欲求です

○10年後、どうありたいとお考えですか

考えた事がより近い形で実現出来る技術を身に付けていたいです
表現する為の技術を磨き続ける10年でありたいです

○国画会工芸部に対してどのようなイメージをお持ちですか

ものづくりに対して伝統の中にも革新を忘れず
常に挑戦をし続けているというイメージです


工芸部奨励賞
Fluttering
着物
藤野あさぎ

(染)藤野あさぎ

○なぜ国展に出品しましたか?

お世話になっている先生が出品されていて憧れがありました。
学外で講評していただける機会だと思い挑戦してみたいと感じました。

○制作の原動力となるものは?

制作が楽しい、好きという気持ち。

親身になり指導してくださる先生方や好きなことをさせてくれる家族、周りにたくさん応援してくださる方がいらっしゃることです。

○10年後、どうありたいとお考えですか

たくさんのものを見てふれて経験を積み、技術力、表現力を追求し、自分らしい作品制作を継続していきたいです。

○国画会工芸部に対してどのようなイメージをお持ちですか

手で作ることに生まれる美を追求している印象があります。

尊敬している先生方の作品を一度に拝見でき、さまざまな学びや発見がある場所だと感じます。


茶園俯瞰図壁掛け(結)二連
135×404

(染)鷲巣恭一郎

○なぜ国展に出品しましたか?

これまで展覧会は見るものとして認識しており出品は考えたことはありませんでした。 
しかし周囲の先輩方の活動を拝見し、お話を伺わせていただく中で展覧会へ作品発表することは自身の技術力・表現力を磨き染色界の発展に寄与し、技術継承にも繋がると教えていただいたからです。 
国画会をフィールドに選ばせていただいたのは、大好きな柚木沙弥郎 氏が出品されていることと氏の仰っている「ワクワクしなくっちゃ。」の言葉通り一番ワクワクする展覧会だと思ったからです。
 

○制作の原動力となるものは?

人との繋がりです。 
私は作品を制作する際は、特定の人や使用するシーンを想定します。

いざ作品が想定通りに使用されている時の、皆さんの驚く顔や笑顔をイメージしながら制作を楽しんでいます。 

○10年後、どうありたいとお考えですか

私は「お茶染め」を文化として普及する活動をしています。 
国画会への作品発表を通じて多くの方々に「お茶染め」を知っていただき、皆さんに「お茶染め」をやってみたいと思ってもらいたいです。 
その為に魅力的な作品作りと普及活動を続け、10年後は「藍染」に並ぶ染色として「お茶染め」が世間で認知され文化として普及していることを目指しています。 

○国画会工芸部に対してどのようなイメージをお持ちですか

出品者に対して一人一人丁寧な講評をしていただき、様々な表現を受け入れ興味を持っていただけたことで次回出品に向けてのモチベーションになりました。 
「創作の自由を尊重するヲ持って第一義となす」の理念通り、工芸部会員の先生方も染めを愛し、染めに生きているのだと感銘を受けました。 


     2023/06/02  工芸部入選作品


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