絵画部 会員インタビュー
第3回 西部 2004
北海道~沖縄までの会員・準会員のインタビューとご紹介
「絵画について思うこと」
仕事で下関という本州西の端に来て10年になります。自然色の風景、海峡の街、往来の船の汽笛、新鮮な光景、うみとやまの景色。そこに息づく空気。都会とは違ったモチーフは作品にも影響してグレーを主体とした画面に自然の原色も登場してきた。私の作品ではすべてを包括する空間や目線上での差異や見えかくれするモノの瞬間、昼の顔、ヨルのカオ、様々な光に写された時、などのヒトコマを再現してくこと。抽象でも具象でもない絵、視覚とイメージを頼りに触覚的な絵肌を追い求めていきたい。そしてそれが自分にとって確かなモノとして手ごたえを感じた時、次への展開を予兆させてくれる。国展という発表する機会の中でそんな問答をしながら制作しています。また西部国展に参加していて、出品者が制作についてのそれぞれのコンセプトや作品批評などを聞いたりすること、絵を描く同志の存在は自分にとっての作品の位置を確認する貴重な場であります。
準会員(西部国画会) 川野裕一郎
「画家が原点を意識する時」
2004年になっても不況の波がおとろえる気配はありませんが、先日筆者は日韓交流現代美術展(オリジン絵画協会主催)に招かれ、ソウルの世綜芸術会館に作品を出品しました。
オープニングの主賓のあいさつで朴素房画伯は「20Cのアートは攻撃的なものも多く、さながら自己主張とインパクトの競争…といったような趣であるのに対して21Cのアートは鑑賞者を受け入れ包摂し豊かさ(アバンダンス)なもので、一種の心の余裕による生産行為に成るだろう」と語り「経済的な成長と活性が起こせるエリアに、アートシーンの活性もリンクする」とまとめた。最後に朴先生御自身は「今、私は自分の原点を見直している。考えてみれば、自分は色彩とアクションに意欲的であったのでその方向で新鮮味のある方法を選んで専念したい」と結んだ。
画家の原点といえば、国画会九州地区出身の偉大な画家、故宇治山哲平先生の場合は、ユニークである。宇治山先生が未だ無名の頃「自分は抽象画が面白くて仕方が無く、好きであるが一生やっていけるかどうかは分からない。多くの人に理解される率の低いこの世界であることも確かだ」と思っていましたが、ある日無心で絵を描く子供の姿を見て「そうだ、子供に感じさせる抽象画をつくって見よう」と考えたそうです。それからというもの、造る作品は晩年まで勢いが止まらなかったのです。
ジャクソンポロックは自分がどのように頑張ってもピカソの作品の二番煎じに見えて、切れて思わず絵筆に残った絵の具ごと画面にたたきつけたらしい。その行為が、ドリッピングを生み出すことに成ったのです。
さて西部国展も早8回展(於福岡2003年度)が成功裏に終わり、今年は9回展(大分芸術会館 9月14日~26日)が予定されています。西部国展をつづけていたお陰で多くのメンバーが躍進していて関係者一同有り難く思っています。ここ数年で見ますと石丸康生会員の昇格のテンポが早かったことは作品が良かった為で特筆すべきことです。又、若手では大分の足利桂子・甲原安の成長が目立ちます。又エリアでは原田文夫準会員を中心とした鹿児島地区同人の活性がすばらしい。
ここで第9回を迎えるに当たって益々原点を見つめて精進したいものです。
国画会 絵画部会員 廣末勝巳
2020/05/12 絵画部・会員インタビュー|