国画会が運営する日本最大級の公募展。

絵画部 会員インタビュー

第4回 東北  2005

北海道~沖縄までの会員・準会員のインタビューとご紹介

 

 東北ブロックには、現在、絵画部会員九名、準会員が八名いる。青森の出品者におる青森国展や秋田の若い出品者のグループ展等は毎年のように開かれているが、東北六県の国展出品者によるまとまった展覧会は開催されていない。然し、開こうという話は折にふれてでているので早く実現させたいものと思っている。

 会員は北から青森の岩井康頼、岩手の木村正、吉田清志、秋田の佐々木良三、齋藤隆三、工藤敬子、山形の遠藤賢、遠藤正俊、そして福島の浅野アキラがいる、その他、準会員は八名である。

 岩井は自然の連環のなかに絵を回帰させることが制作の理想の姿と述べ、毎年「円環する風景」のタイトルで出品し、木村正は長いことラグビーを主題にした「闘」のシリーズを、吉田清志は「山」の大作に挑んでいる。秋田の佐々木良三は若い作家たちの指導に力を注ぎ毎年、多くの出品者を送っている。他に秋田には齋藤隆三、工藤敬子がいる。山形の遠藤賢は近年、「樹氷」をテーマに取りくみ、若い遠藤正俊、福島の浅野アキラもエネルギッシュに作品を発表している。

 私は四十五年間の東京での生活から、岩手の田舎にアトリエを移し十四年なる。東北は雪に鎖される冬の長い期間、白一色といってもよい。春になり黒い土が見えてくると、生きている歓こびを感じる。梅、桜が一緒に開花し、桃の花が直ぐに追いかけて咲く。将に、春爛漫で、このような四季の移ろいが詩心を育み、そしてその感性が制作の糧になる。  雪との生活で耐えることは身に沁みている。決してへこたれることはない。東北の作家も捨てたものではない。若いエネルギーが結実するのを期待して欲しい。(敬称略)

国画会 絵画部会員 木村 正

 

 

 

「 雑 感 」  

 今年は雪が多く、3月の今でも我が家には6~70センチの雪が積もっています。山形といえば芭蕉が詩を詠んだ山寺立石寺、月山、最上川、また樹氷の蔵王などと自然が豊かな土地です。そんな中で国展に出品して20年以上が過ぎました。自然豊かな山形の風景や大地、空、山々、草花、水などなど・・・意識と無意識の狭間、絵の具の物質性と虚の空間性、心の奥底に潜む原風景と集合的無意識、過去の記憶と夢、あるいは色と空をテーマに移ろいゆくもの、儚いもののイメージをもとに自分なりの心象風景を描き続けてきました。これからも続いていくものと思います。

 

 移ろいゆくものといえば、国展に向けての制作時期は常に雪であり、以前は絵を描いていた場所も車庫でしたので、流した絵の具がみるみる凍る様に何度も見せられました。その光り輝く美しさは決して言葉には表せないし、画面にも定着できません。国展初出品以来、自分の表現も少しずつ変化してきていますが、凍る絵の具の幻想的な美しさを初めて見たときの〈様々な思い〉は忘れられません。その思いは、国展に対する思いと重なっています。今後も、その〈思い〉を忘れず、春の国展で新たな表現をめざして挑戦し続けていきたいと思っています。

国画会 絵画部会員 遠藤正俊

     2020/05/12  絵画部・会員インタビュー


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