国画会が運営する日本最大級の公募展。

絵画部 会員インタビュー

第7回 秋田  2008.12

北海道~沖縄までの会員・準会員のインタビューとご紹介

 

「異文化理解と絵画」

 秋田弁で「カコママケ」とは、「お母様(カ)、こちらにおいでになって(コ)、どうぞお食事を(ママ)、めしあがって下さい(ケ)という意味。秋田は、奥羽山脈にさえぎられ、東京からは青森県よりも遠いと言われている。

 日本は単一民族国家であるとして、一文化、一言語、一民族説の元に、統一や足並みが揃うことを美徳と考える人が政治家を中心に多くいる。言葉も、習慣も、指導要領まで一斉に統一した戦後の歴史を、そろそろグローバルな現代人として、修正する時代がきていることに目覚める必要を感じる。この点、昔から変(へん)人が多いと言われる画家は、「異なることを尊重する芸術行為」を常に追求している。この芸術行為は異文化コミユニケーションと共通するもので、むしろ、これからの社会人には

必須教養であり、公務員採用試験の科目の日本国憲法や外国語と肩をならべて「美術」を取り上げてもらいたいと思っている。

 

 秋田は人口120万人の小さな県で、良いことも悪いことも伝達が早い。はじめの頃の国展出品者は、故 伊藤弥太氏を中心に2~3名であったが、その後、徐々に増えるようになった。国展は公平な審査、抽象・具象等の表現様式にこだわらない多様なスタイルを評価する団体展として知られるようになった。秋田県芸術選奨に、17年度は伊藤隆(元 準会員)、19年度は大友良江(現 準会員)と国画会から受賞者がでるなど、秋田の美意識も少しずつ変わってきた。

 今年、「秋田県芸術文化振興基金」の申請を試み、26万円の助成金を受けて「秋田国展2008」を開催。国展出品者50名と、絵を描いても発表の機会がない高齢者や高校生など数名の方を無料で招待する、県内初の企画展を試み、高い評価を得ることができた。

 地方における国展出品者は、「ホスピタリテー(他者を思いやる心)」を大切に、地域の文化・他団体との協調、ボランテイア活動の実施、各種美術行事への積極的参加等、県内の中心的な存在になって行くことを目指している。

国画会 絵画部会員 佐々木 良三

 

 

 ここ数年、モチーフとして興味をもつようになったのは、ものの「形」あるいは「シルエット」です。そもそものきっかけは、作品のエスキースの段階で、人物の写真をコンピュータ処理して線画にしてみたら、人間の生々しさのようなものが消えて、形そのものの美しさが出現したような気がしたことです。国画に出品させていただいた作品にはやぎ、羊、象など、動物のシルエットを使用しましたが、最近はすいかなども試してみました。なんとなく、モチーフとして命のあるものを選んでしまうのは、何か魂のようなものを抜き、新たな命を与える作業をしているような感覚が楽しいと感じるからかも知れません。

 

 私の作品の「シルエット」は様々なものが密集することで出現します。様々なカケラのようなものや、箱、風景、日用品、生き物等を密集させます。やがて、シルエットの出現により、密集した要素一つひとつの意味が薄れます。それもまた、人物を線画にした時に起きた現象ととても似ているような気がします。シルエットはものの密集により生まれますが、密集には疎密ができます。空白や輪郭の欠けのある部分は作品を見た時に意識の中で補完されます。そのような感じで、目で見ると同時にイメージでも見ていただければと思って制作しています。

 

 現在は来年の国展に向けての作品制作を行っています。動物等のシルエットでない、別のモチーフでの表現を模索中です。自分の作風を常に新しくし、自分が自分に飽きないようにしていかなければならないと最近はよく考えます。

国画会 絵画部準会員 山岡美佐子

     2020/06/01  絵画部・会員インタビュー


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