絵画部 会員インタビュー
第9回 栃木 2010.12
北海道~沖縄までの会員・準会員のインタビューとご紹介
絵画部インターネットの原稿依頼を受け、第一回から八回まで読ませて頂きました。それぞれに先輩方のこと、美術についての考え方、地方国展の姿等が書かれています。
今回は関東についてのことですが、関八州は広うござんすし、それぞれの地域で国画会の集まりがあり活動しています。いずれはインタビューになると思います。長い年月の国画会なので、過去のことを書いたらキリがありませんし、すべて時の流れの中に消えていったと思いますので今回は私と国展とのつながりと云うか、思い出の記にしました。昭和二十年八月終戦となり混乱状態の最中、第一回日展が開催され、とにかく出品しました。その後、人にすすめられて国画会に出品するようになり、今日まで出品を続けているわけです。国展も変わってきているとしみじみ思います。これからは若い世代の力ですばらしい国展になっていくことを期待します。この頃歳のせいか、ふと国画会の親しかった人のことを思い出し「あっ!そうか!あの人はもうこの世にはいないのだ」と淋しく合点することがたびたびです。九十歳の私としては精一杯張りのある作品を発表したいと念願しています。
国画会 絵画部会員 宮木 薫
関東平野の北端。北には那須連山、日没の方角には日光連山がどっしりと構え、四季折々に草花が競い合い、天を仰げば抜けるようなコバルトブルーの空。緑豊かで水がきれいなごくありふれた田舎の風景。秋が深まると山々が紅く染まり、稜線際立つ高原山からは冷たく乾いた風が吹きおろし、冬を迎えます。私はそんな栃木県矢板の地に住んでいます。
国展に初めて出品したのは第65回展ですから、今年でちょうど20年目になります。入選通知を手にしたときのあの感動は今でも忘れることはできません。私は、栃木国画会への参加から、ごく自然に国展を目指すようになりました。田代甚一郎先生のもと4名でスタートした栃木国画会は、現在会員3名、準会員9名で総勢20名を超える大きなグループへと成長し、平成23年には27回展を開催します。国画会の創立理念である「創作の自由」は栃木国画会にも受け継がれ、一人ひとりの個性を尊重する精神は今も変わりません。地方在住の私にとって、同じ目標に向かって互いに刺激し合える身近な存在は、大きな支えであり、創作活動の源流と言えます。
毎年国展での発表の機会を目指し、ただひたむきに愚直に取り組んできました。作品は試行錯誤を繰り返しながらゆっくりと変化してきていますが、動的なものと平衡、ダイナミズムを作品の軸に据え、画面空間内における人体の絶え間ない躍動性をテーマとして制作を続けています。現在、国展においては様々な素材が画面を覆い尽くし、見るものを圧倒させる表現が目立っていますが、私は初出品の頃から油絵具の輝きに魅せられ、今でもその表現の可能性を模索しています。イメージの糸を丹念に織り上げて、上質な生地へと仕立てるべく、今後さらに時間をかけて地道に自分なりの世界観を醸成していきたいと思っています。
また、国展を通して実に多くの先生や先輩方、仲間と出会い、そして数えきれない程の批評やアドバイスをいただいたことは、大きな宝物であり、現在の自分が育まれてきたのだと感謝しています。来年からは新米会員としての新たなスタートに、非常に身が引き締まる思いです。 国画会
絵画部会員 白石 一徳
2020/06/01 絵画部・会員インタビュー|