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「変容への意志」中村孫四郎展̶没後四半世紀を記念して 2019.12

 2019年11月12日〜11月15日の4日間、高槻市生涯学習センターにおいて「中村孫四郎展」が開催されました。孫四郎先生(1925〜1995)は、70歳で亡くなるまで高槻市を基盤に活動された画家であり、国画会絵画部会員として大作を制作、発表し続けて来られました。
また、自宅アトリエ(中村美育研究所)での「美術による教育」にも力を注ぎ多くのお弟子さんを育てて来られました。私にとっても優れた絵の師匠であり人生の師でもありました。

 今回は、1995年に開かれた「古希回顧展」から25年の節目となる大きな展覧会となりました。アトリエに残された多くの作品の中から先生の画家としての足跡が辿れるように時代を追って、大作を中心に31点の展示となりました。
 会場は大きく分けて3つの時代区分となります。
 (1)1948〜1966(抽象時代)
主に具象的モチーフ(鳥、人等)を抽象構成の中で展開していく半具象から抽象へと進む時代の作品。石膏、樹脂、麻布が使用され、時には石の粉までが画面を埋め尽くす重厚な作品群。これが20〜30代の作品なのは驚きです。

 (2)1967〜1979(具象時代) 「ドンキホーテ」シリーズ
1968年国展に出品された【ドンキホーテ▪騎士】は、構成、造形化、色彩等とてもインパクトが強く、大きな感動と称賛で迎えられこの年の国画賞受賞となります。
展示会場では『‶上品″で‶新しい″』との声をたくさん耳にしました。

 (3)1980〜1995(抽象時代) 会場の後半は「佛喜」シリーズとなります。
色数も抑えられて画面が黒に近づいていく。同一主題が画面の中で反復されるようになり単純な形態に深い意味が込められて行くように思われます。『単純な繰り返しの中に真理はある。』とよく言われていたことが思い出されます。…絵も人生も同じだったんだと…。

 4日間という短い会期にも関わらず、連日たくさんの人で会場は賑わいました。
『もう一度あの作品が観たい!』という人。先生のお人柄を懐かしんで会場に足を運んだ人等、入場者は700名超えとなりました。入場者の多くから画風の変化と作品の完成度の高さに感嘆の声を頂きました。『すごい!でも、生涯においてこれ程までに画風を変えれるのか…。それはどうして?』

 1995年発刊の画集の中で美学者・木下長宏先生(横浜国立大学名誉教授)は、「変容への意志」として次のように書かれています。『絵を描くという行為と、自分自身が<生きてゆく>という意志のせめぎあいの中から自ずと生まれる<変容>』だと。

戦争をはさんだ大変な激動の時代を画家として生きて来られた先生の自分と闘い時代と闘った立派な記念碑だと、今回の作品群を見せて頂き感じました。制作された年は古いのに‶新しい″のは、いつも時代と真正面から向き合って闘って来られた紛れもない証だと感じました。
『どこを切っても血の出るような絵を描け!』『売り絵は描いちゃあかんよ!』
そんな先生の声が、絵の向こうから聞こえて来ました。

 今回、国画会の後援を頂きながら案内が関西中心になってしまった事が心残りです。
もっと沢山の方に案内すれば良かったと悔やんでいます。一方で、沢山の方にご来場頂き成功裡に終える事が出来ましたのが何よりの喜びです。有難うございました。

(絵画部会員 中村宗男)

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     2020/01/13  絵画部TOPIX


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