第100回 国展絵画部 ごあいさつ
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ごあいさつ(第100回 国展絵画部図録挨拶文)
国展は、官展の閉鎖性に対抗して生れた美術展です。若い作家たちが集い、既成の枠 にとらわれない「表現の自由」を目指した在野の精神こそが原点です。その志は脈々と 国展の根幹として受け継がれています。 作家たちが作品に込める思いは、実にさまざまです。画面に現れるものは、世界の空 気感の反映であり、また自己への問いでもあります。上手さや綺麗といった評価を超え、 これまで見たことがなかったものや、新しいものに出会うことを何よりも大切に鑑査し ています。 「心の貧しさ」が人々の多様性を踏みにじります。世界は今もなお自然破壊や戦争な ど、深い危機に直面しています。この現実を前にして、強い憤りを隠せません。しかし この怒りを乗り越え、再生へと向き合う力を持たなければなりません。 アートの持つエネルギーが、世界をより良い方向へと導くと信じます。国展の長い歴 史の中で培われた「表現の自由」の精神がこれからも受け継がれていくことを願い、 百回という節目を新たな出発にする決意でおります。 ご高覧くださいました皆さまに深く御礼申し上げますとともに、引き続きお力添えを 賜りますようお願い申し上げます。 2026年4月吉日
2025年4月
国画会絵画部 (文・松永健吾)
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