国画会が運営する日本最大級の公募展。

第12回 栄光のOB 久保 守

第12回 久保 守

活躍した嘗ての会員OBを思う・・・

久保 守  KUBO Mamoru  1905-1992

久保 守「花模様の椅子」デッサン
島田章三先生 所蔵

 

久保守 「花模様の椅子など」
97.0cmx 130.0cm 1962年
北海道立近代美術館所蔵

 

「久保守先生のこと」島田章三

  私が東京藝大に入学して一年生の担任は久保守先生であった。石膏デッサンコンクールでアリアス像をかいた私の作品を「参考作品として、しばらく貸してください」といわれて、承知した。夏休みが終った頃、「島田君、私のアトリエに遊びにきませんか」と御招待をうけ、世田ヶ谷の久保先生宅を尋ねた。庭には花が咲き、モダンなアトリエに奥様が案内してくださった。先生は20号ほどの作品をかいていて、「駄目だ」といいながらグレーで画面を全部、ぬりつぶしてしまった。そして、「いつもこんなことのくりかえしだよ」とおっしゃって苦笑いをされていた。「君のデッサンはそこに掛けているんだ。調子が美しいデッサンで見ていると気持が落ちつくんだ」とのおほめのひとことに、えらく、恐縮したのを覚えている。

その後も、お宅にうかがうとギターを弾いて歓迎してくださった。結婚の報告の時はお祝いにとしっかり、色鉛筆でかきこんだ「花模様の椅子」を額装にして、頂戴した。私が愛知県立芸大に勤務してからも、非常勤講師で久保先生をおよびして講義をして頂いたり、世田ヶ谷のお宅から伊豆高原に移られた時も林の中のアトリエを訪問した。「朝から晩まで絵がかけて実に楽しい」とおっしゃっていた。私は、久保先生は日本のモダニズムを確立した画家であり、〈造形性をもって画面を単純化した〉ということで、もっと評価されて良いと思っている。いってみれば、香月泰男、山口薫、大沢昌助、森芳雄たちと同列で評価しても良いのではないかと思っている。

ちなみに私の好きな久保作品 は、「戦後の風景」(1947)「緑の少女」(1951)「美しき肩掛の女」(1953)「アイスショー」(1957)「木馬」(1957)「花模様の椅子」(1962)「ノエルの夜」(1964)などである。

     2022/07/07  絵画部・栄光のOB


▲ページ先頭へ