国画会が運営する日本最大級の公募展。

絵画部 会員インタビュー

第5回 関西  2006.06

北海道~沖縄までの会員・準会員のインタビューとご紹介

 

 現在関西の絵画部会員は34名、準会員は16名である。 東京における国展の本展が終わると直後に大阪では国展大阪展が始まり、間もなく8月の盛夏、京都で関西国展が始まるので制作と準備で息つく間もない。

関西国展も昨年は第40回記念展があり、他ブロックの先生方のご協力も得て盛会裏に終了した。早いもので関西国展も40年を過ぎ、先輩方の御尽力により勉強の場として発足した公募展であるが、本展は今日までに多くの優秀な後輩・新人を発掘、育成してきた。然しその間、石橋・上田・梅宮・尾田・大西・小牧・澤野・下淵・須田・関口・中村・福留・細谷・宗像・山本(万)・山本(正)・(50音順・敬称略)の会員が故人となられ、残念でならない。

夏の関西国展が終わると、今では関西の中でも地区毎に展覧会が開催されるようになり、国画会神戸作家展・同HARK展(阪神間)・同大阪作家展・同京滋作家展・同岡山作家展・同島根作家展と活発に開催され、同志の研鑽とともに、地方の文化向上に貢献しており、各地区毎の意欲は旺盛である。 81回展より六本木の新しく広い国立美術館で開催される事になり、一同、今より燃えていることと思われる。

 私は今、「四季の詩」と題して、花々をモチーフに自然への畏敬・生きる喜びをテーマに挑戦しているが、スプーンで大きな岩盤を削るようで、只々時間が欲しいと思うばかりである

国画会 絵画部会員 田所義信

 

 

 

 国画会に出品して13年になる。現在のテーマは旅人。絵画表現で興味を持っていることは、マチエールの多彩な表現の可能性、人間の無表情な瞬間(例えば、頭が真っ白になっているような表情)、無垢な子供の目線、どこまでも続く地平線、不条理な建造物の連続・・・等。金沢で過ごした6年間が、美術風景の原体験である。曇った空・四季の表情・雪・日本海、それと関西に帰った時の強烈なギャップ。関西の曇らない空や、雨の少ない気候に感動を覚えた。

しかし、日本海のどんよりとした海の風景や、しんしんと降り続く深夜の雪に、覚えた何か異世界を見たようなザワザワした感覚とは違っていた。生まれ育った関西の明るい風景よりも、金沢の(自分から見ると)何か異次元的な情景が、自分の芸術表現を決定づけたのは間違いない。ただ、金沢で濃密な学生生活を過ごしつつも、いつか関西に帰る立場であるという「異邦人」的な気持ちは常に持っていた。その感覚から自然と「旅人」というテーマが生まれたのかもしれない。どこまでも続く地平線や遠い空・雲・いつまでも続く煙突や風車。不思議にたたずむ人々。そういう心象風景に「旅をする」というイメージが結びついたのかも。

 国展はこれから、色々な意味で新しい出発点に立つのだと思う。自分も、来年の81回展を契機に学生時代に戻った気分で、大作に打ち込んでみたい。それが、自分の中の「旅人」のイメージを、新しい境地に引っ張ってくれるのではないかと密かに期待している。

国画会 絵画部会員 堤 建二

     2020/06/01  絵画部・会員インタビュー


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