国画会が運営する日本最大級の公募展。

版画の種類と刷り→混合技法2/ステンシル・紙版(2016.11.10) 

型紙ステンシルの技法 ―プレス機で刷る方法ー

(プレス機2回刷り、スポンジタンポ刷り1回の場合)

特徴:ステンシル手刷りの場合にタンポ・スポンジ・ルーラー・スプレー等を使うが、型紙が動いたりルーラーに巻付いて困ったりしたことから思いつき自ら考案した技法である。特徴としては下記の通り。

  1. プレス機を使う理由」・圧の調整が可能 ・刷り上がりがきれい ・下色の暗色に重ねた明色の場合インクの透明性がよいので、その効果を利用することが出来る等。重ね刷りができ、色の重なりの効果も期待できる。

    %e3%81%86%e3%81%88 

  2. インク付けの用紙(画用紙)が何枚も必要」中性版画インクをルーラーで程よい厚さにつける。巻付いてくる心配がないので何度も転がし、気に入るまで色の調子が出せる。特にグラデーション刷りの場合は好都合である。 色を変えるときは、新しいインク付け用紙にすること。%e3%81%97%e3%81%9f
  3. インクについて」油性インクは粘りが強く、くっついて剥がれなくなる。水性も不向きだ。中性版画インクは程よい粘りでルーラーリングがしやすい。タンポ刷りもできる。乾きが遅いのが欠点である。
  4. 技法の発展性について」雌型・雄型両方の型紙を使うことが出来る。また、型紙替りに木の葉や布、糸や紐、網目の物体等も併用できる。創意・工夫により発展性のある技法といえる。型紙の用紙に薄めの用紙を使えば、細かい点・線等の表現も可能である。カッターナイフ・ハサミ等で型紙をつくる。手で破いた感じもいい。

種 類; 孔版の種類で、染色の「捺染」の技法、版画ではタンポやルーラーを使うのが一般的だが、ここでは「プレス刷り法」を紹介する。プレス機は圧が強いので型紙にインクが一度にピシッと入るしグラデーション刷りにも適している。型紙にルーラーリングして刷れば紙版(凸版刷り)も併用できる。

制作行程:(概略) ー切り抜いた型画用紙を刷り紙に載せ、ルーラーリングしたインク付け画用紙をかぶせてプレス機で刷る。ー 

  1.  型紙の画用紙に下絵を描き、カッターナイフで切り抜いた「雄型」の方を刷り紙の定位置に置く。
  2.  インク付けの画用紙に、黒(暗色系)をルーラーリングし、刷り紙に置いた所に被せプレス機を回す。
  3.  被せた用紙と型紙を剥がせば、白抜きの形ができる。
  4.  白抜きの形にグラデーション(赤と黄)の色を全面に被せてプレスする。
  5.  中央部分に帯状の伏せ紙を置き、左右の空けた部分にスポンジに色を付けてたたく。
  6.  伏せ紙を取り、マスキングテープを剥がして完成する。

材料準備:

  ・材 料; 画用紙(型紙用、インク付け用、刷り用) 中性版画インク マスキングテープ

  ・用 具; カッターナイフ ハサミ プレス機 等

● 吾妻式プレス刷法の制作過程(詳細)・・・・・・(クリックで画像は拡大出来ます)

1 マスキングした刷り紙に雌型を定位置に置く。(刷り紙はマスキングテープで固定)
1 マスキングした刷り紙に雄型を定位置に置く。(刷り紙の4辺はテープで固定する、写真ブルー部)
2 インク付け画用紙に黒色をルーラーリング
2 インク付け画用紙に黒色をルーラーリング
3 それを雄型を置いた刷り紙に被せ、
3 それを雄型を置いた刷り紙に被せ、
4 更にフェルトを被せプレス機を回す。
4 更にフェルトを被せプレス機を回す。
エッチングプレスで刷る。型紙をはがすと白抜き画像が出来る。
5 型紙をはがすと白抜き画像が出来る。
練板で赤・黄のグラデーションをつくり別のインク付け画用紙にルーラーリングする。
5 練板で赤・黄のグラデーションをつくり別のインク付け画用紙にルーラーリングする。
かぶせてプレス機で刷ると4)の白抜きに色が入る。
6 かぶせてプレス機で刷ると5)の白抜きに色が入る。(背景黒は変化する)
中央部分に伏せ紙を置きスポンジに黒インクを付けてタンポリングし中央部との差を表現する。
7 伏せ紙を中央に置き黒をタンポリングすることで中央部との差を表現する。
マスキングテープを剥がす。
8 マスキングテープを剥がす。
完成。
9 完成。  

 

版画の種類と刷りに戻る


▲ページ先頭へ