第1回 北海道 | 第2回 沖縄 | 第3回 西部 | 第4回 東北 | 第5回 関西 | 第6回 神奈川・山口 |
第7回 秋田 | 第8回 鹿児島 | 第9回 栃木 | 第10回 北陸 | 第11回 四国 | 第12回 中国 |
「北陸国展のはじまりと今」
雪模様の平成24年2月10日、石川県立美術館第7,8,9室で「第18回北陸国展」が開幕し、絵画部26名、写真部24名の出品者がそれぞれ新作や北陸での未発表作を発表しました。
国画会 絵画部会員 前田昌彦
|
金沢美大大学院を修了して公立中学校の教員となった。生活が激変した。運動部の顧問となり、土日も部活動である。練習試合、県外遠征と月に1日休みがとれるかどうかである。学校の業務も家に持ち帰って夜やらないと間に合わない。好きな美術を子供たちに教え、じっくりと絵の制作をしていこうという甘い考えは吹っ飛んだ。絵を描く時間がない。
国展への初出品は、まさに中学校教員としてスタートしたその年の4月である。作品は大学院2年の後半に練りこみテンペラで白亜地の自家製キャンバスに描いたF130号である。第64回国展におかげさまで初入選することができた。しかし、これからである。とにかく忙しい。このままでは忙しさを理由に、筆を折ることになる。いやそうはさせない。夜中に制作すればいい。やめるのは簡単、続けるのは難しいが、あとは根性しかない。泣きながら描けばいい。小学4年生の時に美大に行きたいと抱いた夢を一生大切にしたい。 表現には答えがない。だから悩む。だからもどかしい。自分には才能がないのではと落ち込む。表現とは一生悩むべきものではあるが、特に若いころは悩む。自分の可能性もわからない。自分は悩んだときにはいろんな画集をむさぼるように見た。そうすると、やりたいことが山のようにみつかる。好きな画家はもちろんのこと、いろんなタイプの画家の作品を見ると、逆に自分の大切にしたい表現が見えてくる。ある程度描き続けてくると、次は周りの声なんかどうでもよくなるほど、自分が描きたいことを描こうといい意味で開き直れた。 今回、第86回を迎える。その間、休むことなく国展に出品し続けた。初入選からあっという間であった。忙しい中でも国展に出そうという思いが、知らないうちに1年間の制作のリズムとして体に定着してきた。国展を通じて多くの先輩方や仲間と出会えた。制作の楽しさや頑張る勇気をもらった。こうして描き続けられているのも国展のおかげである。これからも産みの苦しみを楽しんでいきたい。
国画会 絵画部会員 本田 正史
|