2013.03.04 更新
絵画部トピックス


第8回弘誓寺抽象画展「西部国画抽象の風展」 2012.9

 滋賀県東近江市五個荘の弘誓寺本堂へ向かう道のりは、黄金色を放つのどかな田んぼの風景と、往事を偲ぶ近江商人の家々が由緒正しく並ぶ、なにか懐かしい町並みでした。天気予報の気温33度にもかかわらず、弘誓寺の門を潜ると、丁寧に手入れされた松の木陰から何とも言えぬ涼やかな風が吹き抜け、国の重要文化財に指定されているという名の通り、歴史を髣髴させるお寺でした。
 700年の歴史を持つ弘誓寺と抽象絵画、そして今年は書とのコラボレーションも実現し、会場は内容の濃い展覧会となりました。
 オープニングセレモニーは、本堂での三味線演奏に始まり、多納三勢氏の司会で「抽象とは」について松野良治氏と書道家の畑中弄石氏のトークがあり、大変興味深い意見が交換され、その後、ギャラリートークでは、姫野芳房氏の司会で、初日参加した石井豊太氏、松野良治氏、廣末勝巳氏、東條新一郎がそれぞれ自作について語り、来場された多くの方々の質問に応答しました。
 夕刻、弘誓寺を去る頃には、初秋めいた風に乗って、祭太鼓の音が聞こえる中、充実した一日を過ごして、五個荘をあとにしました。

 東條新一郎
 第8回弘誓寺抽象画展「西部国画抽象の風展」 9月15日〜23日
主 催:文挙の会(地元出身の日本画家・野村文挙を顕彰する会)
出品者:石井豊太 松野良治 廣末勝巳 石丸康生 西村駿一 東條新一郎

 

古刹と抽象画/美のコラボレーション 2010.9

 弘誓寺抽象画展は、9月18日〜26日、東近江市五個荘町の弘誓寺本堂にて開催された。
 弘誓寺(ぐぜいじ)は江戸時代を代表する重要文化財に指定の古刹。その本堂に新しい抽象画を展示するという試みで、過去5年間は石井豊太会員の個展であったが、本年は関西抽象画家7人によるグループ展の形式である。

 主  催:文挙の会(地元出身の日本画家/野村文挙を顕彰する会)


出展者:石井豊太、大田洋、金谷雄一、北野隆祥、工藤秀策、姫野芳房、森田孝夫の各会員
出展内容:各作家100〜150号2点と小品2点

 初日は主催者側によるオープニングセレモニーとともに会場が披露された。画廊の空間とは異なり、柱間毎に展示された抽象画が本堂と見事に調和し、まさにコラボレーションの感があり、この様子は京都新聞、中日新聞にも紹介された。続いて会場周辺におけるスケッチ会で盛り上がる一方、7作家によるギャラリートーク「抽象画ってどんなん?」は本堂において各作家それぞれのキーワードをもとに抽象画と自作についての思いを語り、50人余の観覧者の共感を得た。
 また会期中盤には地元小学生150名による境内のスケッチ会も授業の中に取り入れられ、臨時講師となった出展者もうれしい悲鳴をあげるなど、地元と一体となる展覧会は出品者一同感慨深く、また達成感のあるものとなった。

 応援団長 多納三勢


第13回国画会絵画部スケッチ旅行会報告 広島 

吉井 章会員 報告
 昨年の10月27日(土)〜28日(日)に行われた第13回国画会絵画部スケッチ旅行会の 報告をいたします。

 旅行会参加者は増地保男会員、石井豊太会員、森田孝夫会員、藤本洋文会員をはじめとして地元出品者を加えての17名。明け方まで降っていた雨が上がって、秋晴れの宮島で絵画部のスケッチ旅行会がおこなわれました。

 猛暑の夏の影響のためか、宮島のシンボルの紅葉の季節にはまだ早く、島内に見る景色の中に点在する少し紅葉が始まったばかりの木立達が印象的な渡船のフェリーからの眺めでした。

 遠方から来られる参加者のために集合は少し遅めの昼食後であったため、午前中に大鳥居と厳島神社を集合時間前に早く到着して取材を済ませて、幸先良く、数年ごとにしか展観しない国宝の平家納経の特別展示が開催されていて鑑賞された参加者の方もあって、今回のスケッチ会を楽しみにされている様子が感じられ・・・いよいよスタート。

 スケッチは島内の各方面に分かれて取材。宮島は厳島神社の背後に拡がる手付かずの原生林につながる紅葉谷があって、その自然な谷川や変化に富んだ木立の様子は所々に色づき始めた紅葉で、風景スケッチのテーマに事欠かない場所。

 ところで、宮島は島の海岸沿いの道路で一周はできませんが、厳島神社から少し離れて島を半周した場所は広島市内から夏場のキャンプや海水浴シーズンで賑わう所でもあり、秋はうって変わっての静かな波止場や浜辺も題材として選ばれました。

 景勝地の宮島は、どちらかというと観光で知られて一度は訪れたという方も多いので、今回のスケッチ旅行会では一工夫をしました。厳島神社の参道筋を一本裏に入った町家通りの江戸後期頃からの風情を残している通りを散策。近年宮島島内で企画されている町家の再生で昔の家屋の景観を残した画廊や住み込みをして制作活動をしている若手の作家のアトリエ見学など、夕刻迄の短い時間に盛り沢山のスケジュールでした。

 宿は、町屋の景観に馴染んで改装され落ち着いて趣のある小さな宿を借り切っての宿泊で、食事も秋の味覚を活かしたもので季節を感じていただけたのではないかと思っています。夕食後、スケッチをした作品の合評や懇談でゆっくりと秋の夜長を楽しんでいただきました。

 翌朝、秋の澄んだ空気を−層感じてもらえればと宮島一周の船巡りを計画しました。参加者の皆様には一様に、空と海の青さ(参加者の感想。言葉で表わし難いあお!)が印象的で、瀬戸内の自然の色を満喫したという声をいただき、企画者としては嬉しく思っております。
 

 今回のスケッチ旅行会では、二日間共に晴天に恵まれ、また当初心配をしていた参加メンバーも、遠く関東から九州までの参加をいただき絵画部の交流が広く行われ、参加者の皆様の盛会のうちにも和やかな懇談が出来て胸をなで下ろしています。

 さて、私事ながら観光地とは別の面をいろいろと見ていただけたのではないかと思っています。




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